■犬の分離不安
家でひとりになると不安になったりストレスを感じるイヌがいます。 イヌの不安というと、飼い主にもイヌにも悪い予感が走ります。 という
のは、イヌがストレスを感じると、通常なら正常なはずの行動が何度も しつこく繰り返されるからです。 例を挙げると、排尿、排便、うろうろ 歩いたり走ったりする、噛む、掘る、吠える、といった行動の頻度が高
まり、本来正常な行動がイライラする問題行動に変わってしまうのです。
また、心配したり不安になったりするのは、イヌにとっても面白くあり ません。
皮肉なことですが、イヌがストレスを感じたり不安になったりする原 因の多くは、飼い主がよかれと思ってしたことがもとになっています。
例えば、あなたが家にいる時はいつも、イヌを息もつけないぐらいかわ
いがっていると、あなたの姿が見えなくなるとイヌは急に寂しくなって しまうのです。
つまり、子イヌがあなたの存在に執着しすぎていると、 いなくなった時に異常に不安になってしまうということです。 ですから
時間をとって、子イヌに自信をつけさせ、ひとりでも楽しく過ごせるようにしてやってください。
あなたが外出中に子イヌの居場所を制限することに備え
て、家にいる時も定期的に子イヌの居場所を制限する癖を つけてください。
このように、習慣的に子イヌを狭い場所に 短時間入れておくようにすると、子イヌはすぐに家庭のマ
ナーを覚えて、あなたがいなくなっても不安にならずに落ち着いていら れるようになるでしょう。
また、あなたが家にいる時でも、ときどき長 時間子イヌの居場所を制限すると、そこに閉じ込められたからといって、
必ずしもご主人がいなくなるわけではないと考えるようになります。さ らに、子イヌのそばにいるので、行動を観察できて、行儀良くしていた らごほうびを与えることもできます。
短時間の居場所でも、長時間の居場所でも、そこに子イヌを閉じ込め ておく時は食べ物を詰めた噛むオモチヤをたくさん入れておいてやりま しょう。 子イヌが噛むオモチヤで喜んで遊んでいたら、あなたがいなく
てもやきもきする可能性は低くなります。ラジオやテレビは付けっぱな しにしておいてください。 流れてくる音が外の騒音をかき消してくれま すし、ラジオやテレビが付いているということは通常はご主人が家にい
るということを想像させるので、イヌも安心していられます。
イヌを入れておく場所のドアの外に、ご主人 の履き尽くしたソックス(濃縮ご主人の香り付きコロン)を置いてやっ
ても子イヌは安心するでしょう。
子イヌにすることがいっぱいあったり (食べ物を詰めた噛むオモチヤ)、あなたの匂いをかぐことができたり、 あなたが家にいることを想像させる音を耳にしていたら、子イヌはあま
り不安を感じずにいられます。 そもそも、イヌを閉じ込めるという概念を受け入れたくない人がいま すが、私だってそうです。 不当に居場所を制限することはまったく非人
道的です。 しかし、実情は、あまりに多くの子イヌが家に連れてこられ て最初の数週間、ほとんどしつけを受けないで自由奔放にふるまってい るのです。想像できるように、そういった子イヌは問題行動(家を汚す、
ものを噛んで破壊する)を発達させてしまいます。
そして、家から追放 されて庭に閉じ込められます。 そこでも、他の問題行動(状況に適用す
る作業療法)を引き起こすことになるでしょう。 次には、どこにでも排 泄して、ものを見たら何でも噛み、穴を掘ったり、吠えたりもし始めま す。そして、近所からむだ吠えの苦情が来るようになると、子イヌを車
庫か地下室に閉じ込めないといけなくなります。 青年期のイヌが地下室 に隔離されると、ストレスをため退屈し、めちゃくちゃに散らかして反 発するでしょう。 最終的には、多くはアニマル・シェルターに連れてい
かれ、個々のケージに入れられて運命の日を待つことになるのです。毎 年、シェルターでは、何百万頭というイヌたちが哀れに棺に閉じ込めら れて一生の幕を閉じています。
以上のような悲劇を避けるために、私は一連の決まったことを何度も 繰り返して賢明な対応をしています。 とにかく間違っているのは、幼い 子イヌに完全な自由を与えておいて、その後少しずつ自由を奪っていき、
徐々に厳しく子イヌの居場所を制限していき、最後には1つの箱の中に 閉じ込めてしまう、ということです。
人道的で知性ある代替策は、一時的ではありますが完全に子イヌの居
場所を制限することです。そうすることで、子イヌは家庭のマナーを学 び、十分に自信をつけ、家でひとりになってもいたずらをしたり精神分 裂したりしなくなります。そうなれば、1週間おきに徐々に子イヌの自
由を広げていってやります。
いずれ、あなたの子イヌはお行儀良く自信 をつけたコンパニオンとなり、残りの生涯は家の中も庭も自由に走り回 れるようになるでしょう。
 子イヌが家に来て最初の数週間は、あなたが家にいる時に子イヌを狭
い場所(ドッグクレート)に閉じ込めておくようにしてください。
そし て、外出する時には、長時間用の居場所(浴室など)に閉じ込めてくだ さい。 1ケ月間、あなたの留守中に何も問題行動が起こらなければ、子
イヌの居場所を1部屋広げてやりましょう。 このように、1ケ月ごとに 確認して、問題を起こさなければ1部屋ずつ子イヌの居場所を広くして いきます。例えば、2ケ月後には、子イヌの居場所(洛室)を台所にま
で広げます。 3ケ月後には、1階の浴室、台所、廊下まで自由に走って もいいようにします。4ケ月後には、ファミリールームにも入れてやり ます。もちろん、あなたが外出中に、子イヌが1回でも家を汚したり、
ものを噛んでいたずらしたりしたら、一時的に(1ケ月間)もう一度子 イヌを浴室に閉じ込めて、同じように、その間ずっと行儀良くしていた ら、1部屋自由にできる場所を広げてやります。
子イヌと1日中一緒に過ごすことができたら理想ですが、それが可能 な人はほとんどいません。仕事に出かけたり、休暇で出かけたり、入院 したりといったことが起こります。 それに、子イヌを会社に連れていっ
たり、旅行にも一緒に行ったり、病院にも連れていくというのは必ずし も許されることではありません。言い換えれば、多くの子イヌは家でひ とりで過ごさなければいけない時間がいっぱいあるということです。
こ
のことを、何も弁護するつもりも評価するつもりもありませんが、どの 程度の時間子イヌが家でひとりになるかは、それぞれの飼い主の個人的 な問題です。 私が言いたいのは、イヌを家でひとりにすることがあるのなら、前も
ってその準備をする必要があるということです。 ですから、子イヌには 家庭のエチケットを教えて、家でひとりぼっちになったら(ご主人の迷 惑にならないように)どのようにしないといけないかを教えてやること
が必要なのです。 つまり、子イヌに、ときどきひとりで居場所を制限さ れても楽しく過ごせるように教えます。そうすれば、ひとりで留守番す る時も、イライラしたりパニックに陥ることはありません。
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